【本】産学連携と科学の堕落

FutabaUniv2006-10-23



産学連携と科学の堕落

産学連携と科学の堕落



大学研究投資額はアメリカが約5兆6000億円、日本は約3兆3000億円。
人口比を考えれば大きな差はありません。
ところがそれに伴う大学収益はアメリカが約1453億円なのに対し、日本はわずか約33億円。


アメリカは1980年のバイドール法制定以後、各大学が技術移転機関を設置。
連邦政府に帰属していた特許権を大学が管理してもよいことになりました。
つまり(゚∀゚)研究して金儲け!
大学発ベンチャーや企業役員を兼務する大学教授が生まれ、莫大なロイヤリティーが大学の収入に。
本格的な産学連携活動が活発になる要因となりました。
日本でも1999年に産学活力再生特別措置法が制定され、これが日本版バイドール法とも呼ばれています。


(#゚д゚)日本の大学は閉鎖的なんだよ!
(#゚д゚)教授も研究で金儲けできて一人前だろうが!
投資家や企業家の声が聞こえてきそうですw
しかし、アメリカの産学連携活動にはほころびが生じつつあります。
本書で指摘されている点は主に二つ。
『研究者は利益を前にして、真理の追求といった本来の役割が出来なくなってきている』
『科学の客観性や公平性が損なわれ、科学の本質が蝕まれている』
契約のため、市民生活に有害なデータを公表できない。
企業が理事会に入り込み、不利益をもたらす教員をリストラする。
学会で情報交換ができない。
金にならない研究はストップさせられる。
不利益なデータは改ざんして発表する。
企業の手先と化した研究者、大学、教授を嘆いています。


資本主義社会において、金儲けが絶対悪だとは誰も言わないでしょう。
でも産学連携は利益を得るだけでなく、ひいては技術を社会に還元することにあるはずです。
大学に求められてるのは企業としての大学経営だけでしょうか?
公平性の保持、社会貢献もあるはずです。
そうでなければ高等教育機関として教養を生み出す大学の存在意義が失われます。


知的財産は薬にも毒にもなる。
金儲けだけが知的財産じゃないよ。
そんな事を考えさせられる本です。


※画像は後日。
私信はありません。