拾得物の全権主張
遺失物法
第二十八条 物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格(第九条第一項若しくは第二項又は第二十条第一項若しくは第二項の規定により売却された物件にあっては、当該売却による代金の額)の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。
2 前項の遺失者は、当該物件の交付を受けた施設占有者があるときは、同項の規定にかかわらず、拾得者及び当該施設占有者に対し、それぞれ同項に規定する額の二分の一の額の報労金を支払わなければならない。
3 国、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)、地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)その他の公法人は、前二項の報労金を請求することができない。
「権利主張されますか?」
「はい、しますよ」
落し主が現れなかった場合の所有権、落とし主が現れたときに報奨(いわゆる謝礼)を受け取る権利をどうするか。
落し物を届けたときに、最初に聞かれる質問です。
常識的な方は「主張しません」と仰るようですが、私は「貰える物は、蜜柑の皮でも貰う」方式で頂戴することにしています。
このたび駅で拾った品は、金のアクセサリー。
落とし主が現れた場合には、落とし主に対して、金品の価格の2.5%〜10%の謝礼を請求する権利が与えられます。
ここで注意すべきは、私には「謝礼を受ける権利があるのであって、謝礼の金額を決める権利があるわけではない」ということ。
謝礼の金額を最終的に決めることができるのは、あくまでも落とし主です。
そして、落とし主には支払う義務がありますが、義務を放棄したとしても刑事的な罰則はありません。
(裁判になれば敗訴する可能性は高いですが)
この28条の規定。
「倫理的にどうなのか?」という疑問が尽きないものですが、私は良い決め事だと思っています。
なぜならば、他人から見てゴミに見えるものであって、私にとって“金では代えられない価値のあるもの”を落としてしまったとしても、誰かが謝礼目的で警察に届けてくれるかもしれない。
そこに、この条文の価値があると私は考えるのです。