中坊先生死去

 「中坊先生は何故、こんな仕事ばかり引き受けたのだろうか」
 そう思う案件が2つあります。


 一つは住専問題。
 もう一つは司法改革。


 住専問題は司法も行政も立法も、そして国民すらやりたがらない。
 焦げ付いた債務を国が引き受けて住専機構で処理する。要するにバブルのつけを税金で片付ける。
 本来は銀行が手前で処理して役員の首を切るべきこの問題を、中坊先生がその責任を被る形となりました。


 司法改革は司法も行政も立法も、その必要性を理解しつつもやりたがらない。
 手を付けて責任問題に発展することを恐れた結果、改革は遅れに遅れました。
 結局は、中坊先生の『2割司法*1』という言葉が違う意味*2で一人歩きしても
 中坊先生は、その旗振り役を見事にこなしたのです。


 私はこう思うのです。
 「誰もやりたがらないことをした偉人である」と。
 「中坊先生は、“弱きを助け強きを挫く”という弁護士の理念を貫いた“理念の人”である」と。
 中坊先生の評価は、歴史の致すところでありましょう。
 しかし、生前も没後も褒章も何も与えないわが国は、かなり異常だと思います。
 これほど国民に尽くし、法に尽くした人はいません。

*1:係争の2割しか司法は参与せず、残り8割はヤクザや示談屋のような連中が片付けている

*2:弁護士数が本来あるべき数の2割しかいない