終戦記念日

 南方戦線への出航間際。


 「「この中で具合の悪い者はいるか?」」
 「「具合が悪ければ下船してもよい」」
 自分一人だけ手を挙げて、下船をするときの周囲の白い目といったら・・・。
 「あの“目”だけは未だに忘れられない」と、親戚の爺様が申しておりました。
 その船に乗った隊は、最後玉砕で終わったそうです。


 縁戚を含めるとちょいとした町レベルになる本家ですが、戦時中に誰一人として戦死者がいない。
 我を通すというか。
 空気を読まないというか。
 雰囲気に乗らないというか。
 戦時でもそんな感じの家系なので、私もその傾向が強いのかもしれません。


 今日は、一人でボーっと仕事をしていました。
 最近、職場にいるのが辛くなりましてね。
 喧嘩した課長も随分とヨソヨソしくなりました。
 「職場に居辛くなる」って、こういう事をいうのですね。


 で、何が言いたいか。
 その子孫も周りの空気を読むことなく、一人静かに黙祷を捧げたということです。
 これでいいのです。