知財は知財にすぎない

「一つの専門性だけ持つ人は、何も専門性のない人よりも生産性が低い傾向にある」
「二つ以上の専門性を持つ人は、より生産性が高い傾向にある」

社会心理学を勉強したことのある方ならご存知かと思うのですが、実際にそういう実証データがあります。


部長(゚∀゚)「ですから、皆さんも専門性を増やすよう自己啓発をして」
部長(゚∀゚)「いち早くプロフェッショナルになって頂きたい!」


私(´Д`).。o○(バカか、こいつは)
言葉は悪いですが、それが私の率直な感想でした。
「知的財産部にある“出願業務”“管理業務”“発明発掘”“対外折衝”“知財教育”といった専門業務をたくさん経験し、“専門性”を増やせ」とお考えの様子ですが、私から言わしてみたら単なるアホです。今日の知財はどこまで行っても知財であって、それ以上でもそれ以下でもないのです。まだまだその専門性を超えるに至っていない分野なのです。いくらグローバルで様々な実務経験を積んだからといって、“一つの専門性”を持つ人が出来上がるに過ぎません。英語が出来ようが、判例をいくら知っていようが、同じ事です。なんでこんな単純な事も分からんのか…。


バイオの人間ならば、良く理解できるはずです。
分子生物学の歴史を紐解くと、それは専門性を越えた歴史でした。それまでは単なる遺伝学・博物学としての生物学が、現在の分子生物学のレベルまで飛躍したのは、物理学者の存在があったからに他なりません。もちろん、その多くは野良物理学者とでも言いましょうか、そんな方々ばかりでしたがw。しかし、全くの畑違いな分野な彼等が参入した事で、物事の視点が変わり、手法が変わり、そうやって“生産性”が向上したのが事実なのです。おそらく、旧来の生物学内でいくら侃々諤々議論をしても、今日のようなレベルには達しなかったでしょう。

人は、信念や自説に反する事実には客観的かつ正確な批判を行い、適合する事実には無批判に受け入れる傾向がある。

これも社会心理学の実証データの一つです。都合の良い解釈で物事を捉えるのではなく、もう少し勉強してから講釈下さい、と私は言いたい。