知財なニュースあれこれ

今日は知財のニュースを二つほど

三菱東京UFJ知財ファンド設立 大手行で初


 三菱東京UFJ銀行は12日、事業化が有望な新技術やデザインなどの知的財産を持つ新興企業に出資し、資金支援する投資ファンドを設立したことを明らかにした。知財専門のファンドは大手行で初めて。出資先の企業が上場を果たせば、ファンドは多額の収益が見込め、銀行の融資拡大にもつながる。景気停滞で企業向け融資が伸び悩む中、三菱東京UFJ銀は新興企業を取引先として発掘、収益源に育てたい考えだ。


 これまでも、企業の知的財産を担保に銀行が融資するケースはあったが、知財がある程度事業化され、融資が焦げ付く恐れが小さい場合などに限られていた。これに対し、今回のファンドは、融資が困難な新興企業に資金を提供し、将来の高収益を狙う。


 ファンドの規模は5億円で、同行はファンド設立と同時に最新の技術や事業戦略に詳しい行員を集めた専門チームも発足させた。新技術の特許やデザインなどの意匠権を持ちながら活用しきれていない企業を探し出す。


 選定した企業にはファンドが出資するとともに、設備投資計画の策定に協力したり、製品の販売先を紹介する。エネルギー技術や農作物の品種開発なども含め、幅広い業種の新興企業を対象にする方針だ。


 将来性ある知的財産を持ちながら、事業化のノウハウがなかったり、資金面の手当てができずに挫折する新興企業は少なくない。三菱東京UFJ銀は「現状では新興企業で生き残れるのは100社に1社程度。事業を軌道に乗せるため、銀行が支援できる分野は多い」と、知財ファンド設立の意義を強調している。


http://mainichi.jp/select/biz/news/20080913k0000m020160000c.html

(´Д`)マジで!
新興企業への新たな融資として注目されますが、下手に中小企業に投資するよりマシだということなのでしょうか。「日経新聞に自社の記事が出た」って理由だけで融資をOKするような業界ですから、リスクをとるわけもないでしょうし、まして商標・意匠・特許に関してきちんと評価できるのですかね?特許買い漁ってる某社みたいに、特許の中身まで理解して融資するってのは難しいのではないかと思います。
それこそ技術開発については某機構が多額の助成金を出している状態で、その助成資金に便乗して金を漁ろうというのなら少しは理解できますが。あまり純粋に良い事だと理解すべき内容ではなさそう・・・。


もう一つは良い知らせ。

iPS細胞作製 京大が国内特許


京都大学は11日、山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功したとされる新型万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の作製方法をめぐり、特許庁に出願していた国内特許が認められたと発表した。京大によると、iPS細胞に関する特許の成立例は世界初。今年4月に外資系のバイエル薬品大阪市)の研究チームが山中教授よりも先にヒトの皮膚細胞からiPS細胞を作製した可能性が浮上したが、国内では京大の優位性が認められた形だ。


 京大によると、今回認められたのは動物の体細胞に4種類の遺伝子を導入してiPS細胞をつくる技術。マウスやヒトに限定しない基本特許で、平成18年12月に特許庁に国際出願し、国内特許を取るために今年5月に再度、分割出願していた。


 再生医療の切り札とされるiPS細胞は、実用化に向けて国際競争が激化。京大は世界二十数カ国にも分割出願しており、「各国で審査中の国際特許に対する直接の影響はないが、日本の特許庁が認めたことによる間接的な効果が期待できる」としている。


http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080912/acd0809120800005-n1.htm

ちなみにこちらは京大のプレスリリース。
http://www.icems.kyoto-u.ac.jp/cira/doc/080911_iPS_Patent_J.pdf


親出願を分割して、早期審査請求したら「この出願については、拒絶の理由を発見しないから、特許査定する。」となったようです。特許公報が出たら見てみたいですね。なにせ、バイエルがすでに同じ技術を特許出願しちゃってて、さらに基本特許を押えられるんじゃないかという不安が広がっていただけに、これで一安心です。日本で生まれた技術は特許で守ろうという意識がないとダメですね。これからが正念場でしょう。
にしても、まあ良かった良かった(゚∀゚)