【映画】シッコ SiCKO



なんとも尿意を感じるこの題名w
華氏911』で有名なマイケル・ムーア監督の問題作です。
映画に関して申し上げますと、面白かったです。
マジで。
スターウォーズの有名シーンをパロったりw


題材はアメリカの保険制度。
ニクソン大統領時代に始まった保険民営化は、現代に歪みを生み出しました。
アメリカの保険未加入者、約5000万人。
民営化による保険会社の闇をうまく浮き彫りにしています。

○既往病と契約


保険会社には既往病リストが存在するので、過去に該当する病気を患った人は加入できない。
ちょっとした病気を加入時に告知していないだけで、義務違反となって保険金が支払われなかったりする。
契約時の記載ミスもしかり。
ミスをあら捜しする保険会社の下請け業者も存在する。

○審査医の存在


保険加入者は、救急車を呼ぶにしても、手術するにしても、医者に診察するにしても
契約上保険会社に承認を得なければ保険料は支払われない。
その上で、重要な存在なのが審査医の存在。
審査医とは保険会社に雇われた医者のことで、加入者の申請内容を承認・認否する。
ここで重要なのは認否率で、ある割合(例えば申請の10%)を認否するノルマが課せられる。
さらにこの認否率がその割合を超える度にボーナス&出世できる仕組み。
したがって、ガン手術を申請した患者が認否されると手術を受けられなくなるが、保険会社大儲け。

○貧民街のシェルター


いわゆるスラム地区には医療センターのようなシェルターが存在する。
医療費も払えない低所得層を救う目的で作られたのだが、週に数回“捨てられた患者”がやってくる。
近所の大学病院などが、お金を払えなくなった入院患者をタクシーに乗せて、シェルターの前で“捨てる”。
手術直後だろうが、何だろうがお構いなし。

○政治とカネ


保険制度の歪みを解消するため、クリントン時代にヒラリー夫人を委員長とする改革委員会が発足する。
アメリカに誰でも医療を無料で受けられる国民皆保険制度を導入しようとしたが
保険業界・製薬業界・医師会は大反発。
国民皆保険制度=共産主義的であり、最後は市民生活まで共産主義的になる!』
そんな典型的なレッテル貼りを仕掛け、さらには議員に対して献金をばら撒き。
政敵だったヒラリー夫人(議員)も今や民主党で2番目に献金額が多い“お抱え議員”となった。
これにて現存の保険制度は安泰。



これだけ酷いアメリカの保険制度。
さらにカナダ、イギリス、フランスを例に挙げ、医療を無料で受けられることを取り上げています。
フランスに至っては、ヘルパーに頼めば洗濯物もやってくれる。


中でもイギリスの元議員の話は一見に値します。
なぜ無料の国民保険制度があるのか?
それは「デモクラシーのためには必要不可欠」だと言うのです。
「国民が健康でなければ民主主義は成り立たない」と。
さらに国家の役割についても言及し
「国家は国民を支配するために、恐怖を与え、 士気を挫く」役割があるとも言います。
イギリスの場合は逆に国民が政府に恐怖を与えている。
イギリスでは、いざとなれば革命が起きる。
しかし、アメリカ国民は政府に恐怖を感じているではないか。
なぜアメリカの保険制度はダメなのか。
問題の核心そのものでした。


最後はマイケルムーアが洗濯物を持ってキャピトル・ヒル(連邦議事堂)に行くシーンで終わりw


面白い人ですね、マイケルムーア監督。
自分をボロクソにコケ下ろすサイトの管理人が、妻の病気による金銭的理由でサイトを閉じようとしたら
匿名で寄付して助けたり。
アメリカ人らしいと思ってしまいましたw
今の日本じゃまずありえない。


さてさて、日本でも保険民営化が進んだらどうなるでしょう。
映画を観て思ったのは「多分、目も当てられない状態になるな、こりゃ」
アメリカより酷い状態になると思いました。


※画像はなし。
私信はありません。