イノベーション試論(2)

FutabaUniv2006-06-27

現在、各理工系大学にはTLO(技術移転機関)が設置されています。
企業と研究室を取り持つ機関です。
大学の研究室から生み出された成果を特許等に権利化、もしくは個別契約を結び
権利実施により、企業は技術を使用し、大学はそれに伴うロイヤリティー料を貰う。
結果として、大学は資金を得るとともに、公開された技術は社会に還元される。
企業も商品開発が容易となり、研究開発がよりいっそう活発になる。
(・∀・)人(・∀・)みんな儲けて万々歳!
そう見えます。
けれども、これには裏があるように思えてならないのです。


競争の激しい昨今、企業の研究開発費は馬鹿になりません。
そして、この点が企業にとって一番手痛いはず。
研究開発がうまくいったとしても、それが商品化、さらには市場に受け入れられるものなんてごく一部に過ぎません。
ほとんどがドロップアウトする状況をどう打開するべきか。
その方法は2つあろうかと思います。
①開発途中の段階で権利化
⇒他社の参入防止&他社への権利侵害を主張して、利益を受け取る
②大学等の研究成果を使う
⇒その分の研究開発費を抑制
要するに、技術を寄せ集めて何かモノになればいいんじゃね? というわけです。
そのために、もっと大学の細かな技術が欲しいと。


しかし、これでは現場の先生方が納得するわけがない。
確かに、研究成果の使われ方を限定したり、利益を得られることで研究がより充実するという論は成り立ちます。
社会に研究成果が還元されるメリットは大きいでしょう。
けれども、企業の要求通りに研究を進めたり、金銭的に縛られることは「企業のための研究」ではないのか?
「真理の追究」という基礎研究の基本を脅かすことにならないか?
「大学の自治」と「研究の自治」を脅かすことにならないのか?
そんな疑問が出るのは当然の話なわけです。


実質、最終的な問題解決が法律家や関連する専門家の範疇である以上、技術屋の出番がありません。
そうした要求から基礎研究をどう保護するのか。
大学の主体性をどう確保すべきなのか。
その辺をもう少し、議論する余地は歴史が浅い分だけまだまだあるのではと思うのです。
(´・ω・`)いや、その、なんとなくそう思ったのですよ


※画像は適当。
私信はありません。