神を見る動物

私の住む地域は貧民窟ですから、実家と居住環境が変わりません。


風俗街があって、
低所得者用の長屋があって、
馬券場やら、パチンコ屋で犇き合い
それでいて官公庁が近くにある。


この間、犬を連れている無宿者を見ました。
実家の近くにも、そういう人は沢山います。
いつも不思議に思うのは
犬を連れている無宿者はいても、猫を連れている無宿者は見かけたことがありません。


ふと、ある獣医の言葉を思い出しました。
「犬は、肉眼で神を見られるこの世で唯一の動物である」
犬にとって見れば、飼い主の貧富や格好など関係なく神は神。


人間とは違い、犬の従順たるは敵意ではなく、好意のみだからこそ
彼らは犬を連れているのだ。
煙草を吸いつつ、そんな黄昏た今日の家路です。