弱いロボット

弱いロボット (シリーズ ケアをひらく)

弱いロボット (シリーズ ケアをひらく)

 図書館にて読了。
 「弱いロボット」とは、要するに人間との関係性を重視したロボットです。
 『個人能力主義で、足し算で出来たロボット』といった不気味の谷を未だに越えられないタイプのロボット(つまり、自由度が大きくて滑らかな動きがあって、さらに人間に瓜二つのようなロボット)ではなく、それらをそぎ落としていって『ソーシャルな、引き算で出来たロボット』が、「弱いロボット」というわけです。


 読んでいて、何だか似たような考え方を持った人もいるんだなぁと感心してしまいました。
 ロボットが人間に合わせるよりも、人間がロボットに合わせた方が遥かに合理的だし、
 以前書いたように人間は鋼ではなく、ロボットもまた鋼であっては人間のパートナーにはなり得ない。


 本の内容の8割方は賛同できるんですがね。
 著者は、弱いロボットを通じて「人と人との関係の再構築」を企てていますが、これはちょっと賛同しかねる。
 人と人との間に立つ媒介物としては、言語学的な視点に立って俯瞰してみると、まだまだ弱すぎるところがある。
 「予定された関係」という考え方も、やや弱い。弱いというより、若干掘り下げ方が浅すぎる気もします。


 今後も、こうした人とロボットの関係性に特化したロボットが沢山出てくるもの個人的に期待しています。