派遣労働者管理の統括を担う

 話が長くなります。


 一枚のタイムシート。
 そこに、こんな付箋が貼られていました。

 「○○さん、2月度のタイムシートです。」
 「お体の調子が悪いと聞きました。元気になってくださいね♪」

 派遣労働者から前任者への暖かいメッセージが挿まれていました。
 前任者は、(言い方は悪いのですが)本当に真面目なお局様。
 一人で一生懸命仕事を抱えながら、私の愚痴にも耳を傾けてくださる方です。


 次年度からは、私が百人近い派遣労働者の統括を行うことになります。

 ・派遣元会社との渉外(契約内容更新、単価交渉、人材確保等)
 ・個別契約締結の処理
 ・派遣労働者への各種対応(職場見学、導入教育、安衛管理等)
 ・苦情等の受付
 ・経費の予測
 ・経費処理
 ・派遣先責任者及び指揮命令者の選定・アセスメント等聴取
 ・派遣先責任者及び指揮命令者を対象とした派遣法教育
 ・派遣先管理台帳の整備
 ・労働局の立入、及び労基署の臨検への対応

 これ以外にも沢山ありますが、これら全てを一任されることになります。
 誠に名誉なことですが、一つ不安があります。


 私は、派遣労働者の方々と信頼関係を結べるのでしょうか?


 以前、ある方と一緒に食事をした時の話です。
 「40も過ぎた女がさ、未だに独身で派遣かよ」
 Futabaはどう思うか知らんが、気持ち悪いよアノ人」
 人の幸・不幸も分かち合える家庭人から、こんな言葉が発せられるとは。
 デスクに戻って、頭を抱えてしまいました。 


 「派遣労働者は弱者である」
 「派遣労働者を切り捨てるな」
 そんなお題目を唱える裏には、先のような本音を隠したいという不文律があるように、私には思えます。
 そして、派遣労働者は不文律を敏感に感じ取ってはいるが、決して口には出さないのではないか。


 経理は「一経費」としか見なさない。
 人事は「社外協力者」としか見なさない。
 現場は「労働力」としか見なさない。


 以前にもお話したように、私は人の幸福を素直には喜べないダメ人間です。
 「人より儲かった」
 「結婚した」
 「偉い職に就いた」
 正直、喜べません。
 しかし、不幸な人がいたら、まず理解して何とかしてあげたい。
 楽しいときだけ一緒にいるだけでなく、辛いときも一緒にいてあげたい。


 復職直後、お局さんが仰ったことを思い出します。
 「Futabaさんって、1年間会社お休みしていらしたの?」
 「それって大事な経験よ。人の痛みや辛さを一番良く分かってあげられるじゃないの」
 「きっと出来るわ」


 前任者のように派遣労働者からメッセージを頂けるまで
 必ずや、この務めを果たしてみせます。