悪夢見ゆ

 「30を過ぎれば、自殺するしかない」
 急に、そんな強迫観念に襲われたのは夢の中のこと。


 その毒々しいまでの化粧をした少女は、私の前でくるりと一回転した後
 自らのこめかみに銃弾を撃ちつけ、そして、倒れ込む。


 奇妙なことに、白黒とした世界で、何より音がしない。
 お洒落な服の擦れる音も。
 小さな靴を運ぶ音も。
 銃声すら聴こえない。


 死んだはずの少女は身を起こし、窓辺から差し込む光をじっと見つめたかと思えば
 再び頭を抱えて苦しむ。
 さてはて、私は悪い映画でも見ているのだろうか?


 といったところで目が醒めました。
 「何だ、夢か」と一安心しましたが、それにしても、あの夢は一体何だったのか?
 ・・・妙な夢ですが、実に後味が悪い。