昭和前期の家族問題: 一九二六―四五、格差・病気・戦争と闘った人びと

 

 家族が第一、教会が第二、哀れな国家は三番目

 最終章で紹介される、このイタリアの格言には意味深いものがあります。


 自由な気風が漂い、景気が上向いていく中で、経済格差、農村部の貧困問題、未熟な医療制度、そして、大戦への道を歩み始めた昭和前期。
 いわゆる公的扶助があまり実現されておらず、大家族制に基づく相互扶助でまかなっていた時代でもあります。
 そんな世の中で、家族はどうだったか。当時の情勢が述べられています。


 本を読んだ後の感想を述べれば、今の30代以下の方は結婚して家庭を持った方が良いかもしれない(←短絡的だなぁw)
 将来、公的な社会保障制度が個人を賄い切れなくなり、経済格差が一段と進み、現行の極めて高い社会モラルが崩れ始め、もはや“哀れな国家”となったとき、最後の拠り所は“家族”になるかもしれません。


 もちろん、今の日本が戦前に戻ることなどありえません。
 しかし、それに近い社会形態にはなるのではないか。
 非婚・未婚が進む背景には、経済格差や個人の価値観が主因でありながらも、実は社会としての経済的余裕があって、成熟した個々人がいるからではないか。
 究極的に、家族が最後の社会保障となる時代になるのではないか。
 私の意見は、実に極論ではありますが、そんな感を覚えるのです。


 30年後、50年後の日本を考える上で、戦前の日本から学ぶことは多いように思います。