新聞のコラム欄から

余録:世界人口70億人


 「どこからあたしは来たの?」と母親にしか分からない“言葉”でたずねる赤ちゃんに母は答える。「お前はわたしの胸のひそかな願いとしてそこに隠れていたの、いとし子よ。お前はわたしの幼い日の遊びのお人形の中にいたの……」タゴールの詩「端緒」だ。「朝の光の双生児(ふたご)として、お前は世界のいのちの河に浮かんでおりて来て、最後にわたしの胸におり立ったのですよ。お前の顔を見つめるたびに神秘がわたしをとらえます。世界のものであるお前がわたしのものになったのですもの……」


毎日新聞 2011年11月1日 0時37分
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/



 インド初のノーベル文学賞受賞者であるR・タゴールの詩を持ってくるあたり、「今日の毎日新聞は冴えてるなぁ」と思いました。
 いつもこんなレベルなら購読するんですけどw

「お前はわたしの胸のひそかな願いとしてそこに隠れていたの、いとし子よ。お前はわたしの幼い日の遊びのお人形の中にいたの……」
「お前の顔を見つめるたびに神秘がわたしをとらえます。世界のものであるお前がわたしのものになったのですもの……」

 会社で詠んでいて、ふと涙脆くなりました。
 私が5歳だった頃に、ベットで寝ている妹を眺めていた感覚に似ていたからです。


 これ以上に、純粋な想いがあるでしょうか。
 子どもの頃に出会った感覚を、そのまま大人になっても覚えているのは至難の業です。
 しかも、それを言葉に表現するのは、もはや狂人とも言うべき域です。


 やはりタゴールは尋常じゃない。