不幸な女性たち

 『嫌われ松子の一生
 『エスター(原題:Orphan)』
 二作品とも女性が主人公、そして、私お気に入りの映画です。


 『嫌われ松子の一生』は、些細な出来事から教師→愛人→風俗嬢→殺人者→ヤクザの情婦→廃人へと転落する主人公を描いた物語。

 
 『エスター』は、外見から「男性から異性として愛されたいのに愛されない」主人公が、その満たされない欲望から精神を狂わせ、狂気に走る物語。


 私は、この不幸な女性たちに一抹の同情と共感を覚えます。
 それは何故か。
 自分の力ではどうしようもできない“不幸”に見舞われ、“情動”に突き動かされて人生の破滅を迎える。
 そんな人間らしい主人公たちが、私と良く似ているように強く感じるからです。


 人間は理性が有し、理不尽さを克服する強い精神も持ち合わせています。
 しかし、必ずしも理性のみで行動するわけでもなく、決して克服できない理不尽さに苦悩するのもまた、人間です。
 それは不可分かつ表裏一体の関係。
 コインの裏表の関係です。
 一側面だけで人間を捉えることなど出来ません。


 この1年間を通じて私の人生を眺めてみて、この不幸な女性たちがますます愛しく思えるようになりました。
 これからもずっと好きなことでしょう。