「研究に資する」と「研究者に資する」

 「Futabaさんね、会社が一番最初に“切る”のは研究者なんだよ」 
 恩師である田中先生が仰った言葉です。
 この言葉が「概してリストラのことを指しているのではない」と知るのは、社会人になってからのことです。
 その主旨は「最後にヒトを支えることが出来るのは、モノではなくヒトなのだ」と、今では理解しています。

 
 「研究に資する」と「研究者に資する」


 前者は、モノ。
 後者は、ヒト。
 私が、今後取組むべきは後者となります。


 「研究に資する」ことが「経営に資する」ことは十分あり得ても、
 「研究に資する」ことが「研究者に資する」とは限りません。
 では、どうすれば「研究者に資する」ことができるのか?


 どの企業でもそうですが、研究者ほど苦労の耐えない職業はないと思うのです。
 商品を開発するにしても、その要素となる確信を拾い上げるのは試行錯誤の連続です。
 それを日夜、朝早くから日付が変わるまで毎日と続けるのです。
 にもかかわらず、文句一つ言わず、淡々と遂行する。
 その非凡な才能をフルに使って。
 その忍耐力をフルに使って。
 にも関わらず「研究者にやさしい」ければ、それで事足りるのでしょうか?


 知財業務から管理業務に移り、研究者の不遇や環境に対して思うことは山ほどあります。
 しかし、こう宣言することから始めようと思います。
 『我々の顧客は、研究者である』と。