拙い言葉で

 人から罵られた時、私はその言葉の意味を理解していませんでした。
 人から非難された時、私は自ら発した言葉を覚えていませんでした。
 人から褒められた時、私はその意図を知りませんでした。


 『言葉は人間固有のものであり、創造そのものである』


 時として「話しただけで高い知性が伺える」人を、羨ましく感じて仕方ありません。
 おそらく、それなりに努力されたか、富んだ環境にいらっしゃった方なのでしょう。
 拙い言葉しか使えない私にとって、言葉をうまく使いきろうとすることは生きる命題そのものです。
 そして、それは悲しきかな、誰にも理解されない命題でもあります。  


 言葉は、実に難しい。
 何故、そこまでいとも容易く扱うことができるのか?
 何故、私にはそれができないのか?
 こんな命題に真偽なぞありませんが、どうしても考えてしまいます。


 やはり私は知性のある人間にはなれないし、そして、とてもその持ち主に追いつくことができません。