文明の衝突

文明の衝突

文明の衝突



 果たして新聞各紙が好意的に論じる『アラブの民主化』には、ちょっと疑念があります。

 アラブ諸国の独裁体制が終焉。
 ↓
 自由選挙によりイスラム原理主義に近い政党が多数派、穏健派は少数派となる。
 ↓
 アラブ諸国イスラム化、かつ、近代化していく。
 ↓
 ・地中海沿岸のヨーロッパ諸国(特にフランス)が警戒を強める。
 ・西欧内外でイスラム教との対立が増加する。
 ・アラブ諸国同士で小競り合いが生じる。

 こんな感じに進むんじゃないかなぁ、と勝手に予想しています。


 本書は古典とも云うべき本ですが、今更ながら読んでみました。私の独断&偏見で論点を要約すると

・日本は、他文明との共通点が少ないため、孤立し衰退するだろう。
・世界の工業生産における各国の割合は、産業革命前の状態に進むだろう。
個人主義が進むにつれて、宗教が人々に与える影響は大きくなるだろう。
・西欧は、多文化主義を推し進めれば『引き裂かれた国家』となるだろう。
・中国は、経済成長に基づき、拡大主義を推し進めるだろう。
イスラムは、人口増加を背景に、世界へ大きく影響力を持つだろう。
・各文明のフォルトライン紛争は、ますます増加していくだろう。
・全人口に対する15〜24歳の年齢層の割合が20%を超えると、内紛や内戦が生じやすい。


リベラル派の唱える多文化主義は糞。よってリベラルも糞。

 こんな感じ。最終章で、著者はリベラル派を虚仮にしています。


 本書は「〜だろう。」とか「〜かもしれない。」といった記載が目立つ悪書ですが、「欧米の右派が何を考えているのか」といった観点から見れば良書ですね。