文明の衝突
- 作者: サミュエル・ハンチントン,鈴木主税
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1998/06/26
- メディア: 単行本
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果たして新聞各紙が好意的に論じる『アラブの民主化』には、ちょっと疑念があります。
アラブ諸国の独裁体制が終焉。
↓
自由選挙によりイスラム原理主義に近い政党が多数派、穏健派は少数派となる。
↓
アラブ諸国はイスラム化、かつ、近代化していく。
↓
・地中海沿岸のヨーロッパ諸国(特にフランス)が警戒を強める。
・西欧内外でイスラム教との対立が増加する。
・アラブ諸国同士で小競り合いが生じる。
こんな感じに進むんじゃないかなぁ、と勝手に予想しています。
本書は古典とも云うべき本ですが、今更ながら読んでみました。私の独断&偏見で論点を要約すると
・日本は、他文明との共通点が少ないため、孤立し衰退するだろう。
・世界の工業生産における各国の割合は、産業革命前の状態に進むだろう。
・個人主義が進むにつれて、宗教が人々に与える影響は大きくなるだろう。
・西欧は、多文化主義を推し進めれば『引き裂かれた国家』となるだろう。
・中国は、経済成長に基づき、拡大主義を推し進めるだろう。
・イスラムは、人口増加を背景に、世界へ大きく影響力を持つだろう。
・各文明のフォルトライン紛争は、ますます増加していくだろう。
・全人口に対する15〜24歳の年齢層の割合が20%を超えると、内紛や内戦が生じやすい。
・リベラル派の唱える多文化主義は糞。よってリベラルも糞。
こんな感じ。最終章で、著者はリベラル派を虚仮にしています。
本書は「〜だろう。」とか「〜かもしれない。」といった記載が目立つ悪書ですが、「欧米の右派が何を考えているのか」といった観点から見れば良書ですね。