思考の蛸壺


 河原で本を読んでいる今の自分が、「考査に通りそうもない論文のアイデアのために、一生懸命に資料を読み漁って理論武装している昔の自分」に似ているように思われた。
 この状態を仮に“思考の蛸壺”と仮称すると、これは妄想を捻り出している状態とほぼ同義である。現実逃避とも云う。もしくは、前頭葉の機能低下なのかもしれない。


 ある野球選手の言葉を借りれば

 考えることが得意でない人間は、あまり考えすぎないようにするにかぎる。



 これは的を得た話であって、この種の人間は大抵、長期的な計画を立てることが苦手である。故に、ある課題に対してひどく極端な結論に陥ることが多分にある。
 私もこの種の人間であることに、今日になって気がついた。実に頭の悪い話だ。