親方はつらいよ

親方はつらいよ (文春新書)

親方はつらいよ (文春新書)

朝青龍問題で一躍有名になった高砂親方の著書です。おそらく編集者の方が口述筆記したものですが、内容的には満足できるものでした。当時のマスコミが伝えていた朝青龍問題について、事実と相違する点に限って反省の弁を述べつつも逐次反論されており、実際の内情は異なっていたのだと感じました。
例えば、朝青龍が部屋に引きこもった際、親方自ら出向いて行った事については「こだわりはなかった」と述べられていたり、次々と異なる医師が別々の診断をしたことで「かえって事態が混乱した」と実は感じていたり。あのヘロヘロした態度でパイロット服ばかり着ていたイメージとは裏腹に、当事者にも関わらず冷静&客観的に物を見ていた事に感心しました。事態が悪化の一途を辿った中で、大した気の持ち様です。
それから、自らの親方としての教育法も記されていまして、むしろこっちの方が面白かった。親方は「勝ったときに苦言を呈し、負けたときには何も言わない」らしいのですが、その理由は「勝ったときは余裕があるので聞く耳があるから、改善が見込めるから」なんだそうです。言われてみればその通りですが、実践してる人を意外と見たことがありません。他にも「昔は野山で鍛えたものだ、と若い世代を叱る年配の方」に対しては「その当時は野山しかなかった仕方なかった、でも今はトレーニングルームがあるじゃないか」と結構まともな事を述べるw
見た目とは裏腹に、物事をよく見定めようと考える人なのかもしれません。まあ、そうでなければ横綱を輩出する親方ではないはずなので、優れた指導者であることには変わりはありません。


(゚∀゚)ちなみに、高砂親方は私と同じ近大卒です。大学の先輩にあたるのですね、初めて知りました。