派遣契約更新の調整

通常の個別労働者派遣契約書には、以下の文言が記載されています。

派遣先は、派遣元の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元に解除の申入れを行うこと。

ここでいう「相当の猶予期間」とは、労働基準法上の「解雇予告」が準用されます。
理由は簡単。
派遣契約を更新しないことは、派遣社員の「クビ」を宣告することと同じ。
派遣社員の雇用の多くは「有期雇用」です。
派遣契約=派遣元との雇用契約となっている場合が多く、派遣元との雇用関係に直結します。

労働基準法第20条


使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。



研究開発スタッフ約100名を統括管理する私にとって、この契約更新は大変な調整作業です。


社内を取りまとめようにも
「部長が戻るまで更新を待ってくれ」→30日前にな
「契約中に切りたいんだけど、無理かな」→休業補償することになるぞ
「あと10日間だけ来て欲しいんだけど」→日雇派遣は無理っす
「予算承認が下りないんだよ、契約終了の10日前には決まるから待ってよ。出来るっしょ?」→無理じゃ、ボケ
無茶苦茶な要求ばかり。
派遣法おろか、労働基準法すら読んだことのない研究員が多い。


かたや社外的には
「正社員への転職が決まりましたので・・・」→よろしゅうございました
「中途終了したいのですが・・・」→残念ではございますが、後任者をご紹介ください
「本人が別の部署様へ異動を希望しておりまして・・・」→別途、ご相談ください
「派遣料金を上げていただけないでしょうか」→予算の関係から難しゅうございます
もう言いたい放題のやりたい放題。


日頃から板ばさみにあっている毎日ですから
精神的には相当なストレスフルになります。
新月は、研究員・派遣会社・派遣スタッフの調整に追われる毎日です。


そして今日午前、全ての更新通知が完了。
課長に「もう帰りますからね!」と言い、午後はお休みを貰いました。


派遣社員は、法的には「労働力」ですが、実態はれっきとした「労働者」なのです。
研究員も派遣会社も、この点を良く理解して欲しいデス。はい。