祖父と養蜂家
祖父は、Futaba総本家では『変わり者』でした。
近衛師団所属で日中戦争に行ったものの、大戦では徴兵間際に骨折して戦場へ行かず終戦。
その後に大地主から八百屋に没落しつつ軌道に乗せたと思いきや
50で家督を長男へ譲り、養蜂家となった“そうです”。
“そうです”と断言できないのは、これを証言する家人が誰もいないのです。
気が付けば縁側にいるし、盆栽をいじくってるし、書斎で本を読んでるし。
どう見たって養蜂家じゃないんですが、どうも養蜂家だったらしい。
もしかしたら、養蜂家になったというのは嘘で
養蜂家になりたかっただけなのかもしれない。
しかし、敷地やお金、時間を考えると養蜂は十分可能です。
ならば何故、祖父は養蜂家になったのだろうか。
ここからは私の推測ですが、これは祖父の想いが先行していたのかもしれません。
隠居するには若すぎた。
かといって、庭弄りだけでは気がすまなかった。
そこで、養蜂家の自分を作り上げて、その世界に入り込んだのだと思います。
実際に養蜂を試みた形跡もあるように、やろうとは思ったが「自由人」にはなれなかった。
ちなみに、私のセカンドキャリアは『養蜂家のようなもの』です。
祖父同様、中途半端が一番いいと思っています。