無題

その人は美しく
例え風に髪靡けども
時計のように鳴る足音


その人はさりげなく
例え不幸が訪れども
涙落ちることのない頬


その人は儚く
例え欠けた湯呑みでも
縁に手を添え包む指先


その人は限りなく
例え不明であろうとも
暁に映えるその微笑み



 本当に芸術を知る人が羨ましい。
 もしくは、芸術が理解できる人が羨ましい。
 だって、詩や絵、音楽を通じて世界と繋がることができるのでしょう?
 非才な自分は自らに閉じこもる他、為す術がないのですから。